給費制の意義

先日、大物の先生と給費制問題で懇談する機会を得ました。

その先生は「給費制の問題を論じるにあたり、修習生の生活苦や就職難を主張するべきではない。問題の本質は、法律家の公益性にあるというべきだ」とおっしゃっていました。

その理由は、一般の人も生活苦や就職難で困っている世の中だから、修習生の生活苦や就職難を引き合いに出しても、国民の共感は得られないからということでした。また、修習生の状況を主張しても、内向きの議論になってしまうとのことでした。

その先生は、生活苦と就職難を出してはいけないと述べていました。

しかし、私の個人的な意見としては、生活苦や就職難によって、貸与制のもとで修習を受けた新人弁護士がお金になる事件ばかりを受けるようになり、公益的な仕事にかかわらなくなるおそれがあるのではないかと思います。その先生もその点については否定はしませんでした。主張の仕方の問題のようです。

法曹のあり方について、色々と考えさせられました。

 

(ぶーた)

給費制の意義」への2件のフィードバック

  1. TAKA

    こんにちは。とある士業をしている者です。
    事情は異なるとは思いますが、私の業界では合格後に士業登録するための研修は全て自腹です。
    更に、代理権限を広げるための研修や試験もありますが、それも全て有償で自腹です。
    お金がなければ登録しなければいいというだけの話で、合格者もそれを受け入れているのが現状です。
    それを思うと司法修習は貸与もあり、司法修習は無償です。大変恵まれております。

    気の毒な現状だとは思いますが、貸与制度があるだけで相当恵まれています。
    生活苦かどうかは貸与か給付かの問題ではないと思います(貸与で生活がなり行かなくなる場合は、給費制度の下でも同じ運命が待っているのではないでしょうか?)。
    そして、「国民が税金で養うべき」とまで言い切れるのでしょうか?
    確かに公益性は他の士業より高いでしょう。しかし、それが全員とは言い切れません。
    就職もできず、登録もしない司法修習生も大勢いると聞きます。
    企業に就職して一般の法務部員と大差ない仕事をしている企業内弁護士もいます。
    要するに無駄になっています。その分の負担を更に国民が負うべきなのでしょうか。
    更に、仕事が少なくなっている昨今、公益性の仕事も大人気になるので、国民の不利益は少ないのではないでしょうか?

    国民感情にも関わる話なので、あえて第三者からの率直な感想をぶつけさせて頂きました。
    ご活躍をお祈りさせて頂きます。

    返信
    1. member 投稿作成者

      最近スパムのコメントが多くあるため、TAKA様のコメントを見過ごしておりました。申し訳ありません。
      まず、大変有意義なご指摘をしていただき、ありがとうございます。大変参考になりました。

      TAKA様のご職業が司法書士であることを前提にして、以下、お返事を書かせていただきます。
      司法書士との研修の違いとしては、法曹の場合は研修の期間が1年間と長く、その間はアルバイト等を禁じられ、さらに、全国各地に配属される点があると思います。こういった事情から、法曹は研修中に給費を支給して生活を保障する必要性が高いと思います。
      また、法曹は後に公務員となる検察官と裁判官もあわせて、国が主体となって養成するため(これを統一修習制度といいます。)、司法書士とは養成の主体が異なっています。これに対しては、弁護士は民間人なのだから、国ではなく弁護士会が育成すべきであるという反論が考えられますが、弁護士も国家の作用である司法の一翼を担っているという考えから、弁護士を検察官や裁判官と一緒に育成することは重要な意義を持っているそうです。
      就職もせず登録もしない修習生がいるというご指摘ですが、これは一斉登録時に就職活動が決まらなかったためであり就職の意思はあります。3月くらいの時点ではほとんどの人が弁護士として登録して働いています。
      企業内弁護士は通常の弁護士よりは公益性は落ちますが、職業倫理に基づいて職務を行う点で、士業ではない会社員とは立場が異なるかと思います(ここは納得のいく説明ができていないですね。)。
      さらに、仕事が少なくなったからといって、公益性の仕事が大人気になるとは限りません。確かに、国選弁護等は人気です。しかし、新しい領域の事件に関しては、始めるには一定期間、手弁当で仕事をする必要があり、経済的に困窮している状況ではなかなか着手することができません。例えば、クレサラ事件や薬害事件等は現在でこそ、一定のジャンルとして確立していますが、これらの事件を始めた弁護士は手弁当で悪戦苦闘しながら途を切り開いてきました。

      かなりわかりにくい返信となってしまい、申し訳ありません。今回、返信を書いてみて、なかなか国民の方々の理解を得られるようなわかりやすい説明ができていないと痛感しました。
      引き続き、理由等をブラッシュアップしながら、皆様のご理解を得られるよう努力して参ります。
      この度は、ご指摘をしていただき、ありがとうございました。

      返信

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