原告の数字の背景

今回の提訴では、合計180名を超える方が原告になってくれています。これは同期である新人弁護士の10名に1名の割合になります。これを少ないと思われる方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、同期の中には事務所のボス弁護士に反対されたり、あるいは反対をおそれて原告になれなかった人がたくさんいます。昨今の就職難により、新人弁護士の多くは事務所のボスの顔色を伺い、ボスに嫌われないように必死で歯を食いしばって耐えています。私たちは、そういう人たちに対して無理矢理「原告になって」とは言えませんでした。原告の数の背景には、多くの「原告になりたくてもなれなかった同期」がいます。

また、そもそも自分の被害を認識できない人も多くいます。「合格者数が増えたんだから仕方ない」とか、「貸与制だとわかってて借りたんだから仕方ない」という意見が多かったです。でも、貸与制は受益者負担や自己責任を押し付けるものであり、明らかに法曹の公益性を低からしめると思います。

貸与を受けていると、一応、毎月お金が入ってくるので経済面で困窮することはありません。そのため、当初は「自分はあまり困っていない」と言っている同期も多くいました。しかし、5年後に返さないといけないことを指摘すると、「ああそういえばそうだった」と言い、これまでの借金の額を聞いたりするうちに少しずつ反応が変わっていきました。

私たちはこうして地道にひとりひとりと話しながら、同期から委任状を集めてきました。提訴が何度も延期されたことから後でトラブルが発生しないように、最近はこれまで集まった原告ひとりひとりに連絡をとり、提訴をしても良いか意思確認を行いました。

新人弁護士は忙しく、事務所内でも肩身が狭いため、全員が提訴行動に集まることは難しいですが、原告になりたくてもなれなかった同期や、自由に給費制の活動ができない原告の声も一生懸命伝えていきたいと思います。

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